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演劇企画CaLとは

主宰・吉平真優がアイルランド滞在を経て立ち上げた、アイルランド演劇を専門に上演する演劇企画。

主宰ご挨拶

演劇企画CaLはアイルランド演劇を上演します。
何をもってアイルランド演劇と言うのか、それは歴史的・文化的背景から難しいところではありますが、当企画はいち演劇団体として、「アイルランド出身、もしくはアイルランドを基点に活動する・した劇作家、劇団の作品」と定義することにします。

アイルランド、ヨーロッパの隅にある、北海道ほどの小さな島国では、実は数えきれないほどの優れた作家や詩人が生まれ育っています。その非凡さにかのユネスコが思わず首都ダブリンを文学都市に指定したくらい。 古くは『ガリバー旅行記』のジョナサン・スウィフトから、日本の能楽演目で唯一の輸入作品『鷹姫』の原作者イェイツ、小泉八雲ことラフカディオ・ハーン、奇人オスカー・ワイルド、さらには世界の演劇史において最重要人物のひとりサミュエル・ベケットも、みなアイルランドの出身です。これらはまだほんの一握りで、それだけでも屈指の文学大国であることがお分かりいただけるでしょう。

アイルランドの文学作品の共通点として、「悲喜劇」と言い表されることが多いです。めでたしめでたしのエンディングではなく、描いた夢は叶わず理想通りには生きられない人々が、しかし日々の一瞬一瞬を出来る限り楽しく生きる様を描いた作品が多いです。 この「うまくいかないことを前提とした喜劇」という形が、なんとも現実に寄り添ったフィクションで、人々の心を揺らすのです。

加えてアイルランドの人々の「言葉の豊かさ」も群を抜いていて、これは文学はもちろん、世界有数の人懐っこい、愛され上手な民族であるという点にも繋がるでしょう。かく言う私も、その人たらしたちにまんまと惹きこまれた一人です。近年ではその愛嬌と表現の豊かさで、アイルランド出身俳優たちがめざましい活躍を見せています。アイルランド語の影響を受けた独特な語り口は、「歌うように話す」としばしば称され、その巧みな語りは演劇作品においても詩的な響きを生んでいます。

アイルランドでは、演劇の上演が社会と密接に関わっているのも大きな特徴の一つです。アイルランドのナショナル・シアターであるアビー・シアターは、独立運動の一環としての文芸復興運動に端を発し、1904年、国家独立よりも先に「アイルランドの深い感情を舞台に乗せるため」に誕生しています。文学的で芸術的である、ということと、観客に現実社会を考えさせる、ということを見事に両立させた演劇作品が多いのです。

演劇の特性上どんな名作も上演されなければ消えていってしまいます。日本でアイルランド演劇の認知度が低い、という嘆きは、日本で、日本語で上演されることがほとんどない現状から来ています。アイルランドを知ってほしい、などという大層な目標を掲げているわけではなく、わたしたちはただ、埋もれてしまいそうな愛しい名作たちを上演し続けたいだけなのです。 みなさんに、ひとつでも多くの観劇経験を届けたいです。

主宰 吉平真優

主宰プロフィール

吉平 真優

福岡県出身。舞台照明家・音響家として活動するかたわら、2017年10月より1年間アイルランド・ダブリンに滞在。アイルランドでの観劇体験に強い影響を受け、アイルランド演劇を独学で学び始める。日本でアイルランド演劇を上演する機会を増やしたいと思い、帰国後、2019年にアイルランド演劇を専門に上演する演劇企画CaLを立ち上げる。以降、演劇企画CaLで全ての公演をプロデュース。

note連載「アイルランドの劇作家たち」